ホールフーズ・マーケットは「Just Walk Out」技術を使った最初の店舗をオープンした。
Courtesy of Whole Foods Market
- 大手小売業各社は、レジのない店舗体験の検証を行っているところだ。
- コンピューター・ビジョンを利用したショッピング体験は、何年も前から開発されてきた。
- 現在、アマゾン、クローガー、ホールフーズ・マーケット、アルバートソンズがこの技術を導入している。
小売大手各社は、客がレジに並ぶことなく商品を購入できる技術を実際に活用するようになってきている。AIやコンピューター・ビジョン、カメラ、センサー、ディープラーニングのアルゴリズムの進歩により、これらの技術を融合させることで店舗で客が商品を手に取ったり、カートに商品を入れたりするだけでレジを通さなくても買い物をすることができるようになる。
このトレンドは、小売業界全体に浸透してきているようだ。クローガー(Kroger)とアルバートソンズ(Albertsons)は、スマートカートのスタートアップ企業、Veeveと提携し、一部の店舗で試験を行っている。Amazon Goの店舗がオープンしたのは2018年のことだ。2022年2月23日には、アマゾンが買収したホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)が、アマゾンのJust Walk Outの自動決済技術を採用した最初の店舗をワシントンD.C.にオープンした。
アメリカで実際にレジなし体験を提供する店はまだ少ないものの、大手小売業者がこの技術を採用しているということは、この技術が今後普及していくであろうことを示唆している。
レジなし体験の導入が遅れている理由のひとつは、この技術が高価で複雑だからだ。これらの店のシステムは、天井や棚、ショッピングカートなどに設置されたAI搭載カメラや重量センサーのネットワークに依存している。
これらのシステムでは、買い物客が棚から商品を取り出したり、商品を交換したりしたときに、商品を追跡する。また、客の買い物かごに入った商品の価格を計算し、買い物が終了した時にはレシートを渡すことができる。
アマゾンは以前から、「チェックアウトなし、またはレジなしのチェックアウト体験」を実現する方法として、コンピューター・ビジョン技術をアピールしてきた。
ミネソタ州のセント・クラウド州立大学の経営学教授、アレックス・ポラッコ(Alex Polacco)とMBA卒業生のケイラ・バックス(Kayla Backes)は「アマゾンは技術的な進歩についてあまり明らかにしていないが、カメラを事業戦略の中心に据える計画のようだ」と2017年に『経営学ジャーナル(Journal of Business and Management)』に掲載された論文に記している。
しかし、Just Walk Out、Dash Cart、Amazon Goを支える自動決済技術は、店舗に導入されるまでに何度も試行錯誤を繰り返している。
2021年に出版された書籍『Amazon Unbound: Jeff Bezos and the Invention of a Global Empire(アマゾン・アンバウンド ジェフ・ベゾスとグローバル帝国の発明)』の中で、著者でジャーナリストのブラッド・ストーン(Brad Stone)は、2016年初めAmazon Goの開発チームは、「不運なデモ」で当時のCEOのジェフ・ベゾスとそのチームの印象を悪くし、苦戦を強いられてきたと報告している。
ベゾスはかつて、「全国の都市部に、何千ものAmazon Goの店舗を展開することを構想していた」。しかし、Amazon Goは創業者が当初予想したよりも遅く、少ない店舗で始まったのだ。
ストーンによると、アマゾンは他の小売業者にJust Walk Outをライセンス供与することに成功したという。そして今、ホールフーズ・マーケットがその仲間に加わったところだ。ホールフーズ・マーケットは、この技術を「コンピューター・ビジョン、センサー・フュージョン、ディープラーニング」を融合させたもの、つまり自動運転車に見られる技術を組み込んでいると説明している。
しかし、レジなし技術に関して言えば、アマゾンとホールフーズだけが導入しているわけではない。他の小売業者は頭上にカメラを設置する必要のないスタートアップの技術を採用している。
つい先日、Instacartはスマートカートを製造するCaperを買収した。アマゾン出身のシャリク・シッディーキー(Shariq Siddiqui)とウマル・サディク(Umer Sadiq)も、スマートカートのスタートアップ企業、Veeveを設立している。Veeveはパンデミック時にクローガーやアルバートソンズなどのスーパー大手と提携してビジネスを軌道に乗せた。
アマゾンのJust Walk Outのサービスでは、店の天井や棚にカメラやセンサーを設置しているが、CaperやVeeveでは、専用のショッピングカートにバーコードスキャナーやカメラを搭載している。
レジなしのためのテクノロジーはこのようにさまざまな形をとっているが、その基本は変わらない。「我々がやっているのは、顧客の買い物を見ることだ」と、シッディーキーは以前、Insiderに話している。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)
からの記事と詳細 ( レジなし店舗に普及の兆し…アマゾン傘下の食品スーパーが初の出店 - Business Insider Japan )
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