東京五輪出場へのサバイバルマッチ、決着は2月以降に持ち越し
東京五輪代表選考会の一つとなっている柔道グランドスラム(GS)大阪大会の第1日が22日、丸善インテックアリーナ大阪で行われ、男子66キロ級の17、18年世界選手権連覇の阿部一二三(日体大)が、決勝で丸山城志郎(ミキハウス)を破り、2大会ぶりの優勝を果たした。東京五輪出場に崖っぷちに立たされていた期待の星。8月の世界選手権を制した丸山が優勝すれば、阿部の出場は厳しくなる状況だったが、正念場でライバルの内定を阻止する復活Vを飾った。
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東京五輪を懸けたサバイバルマッチ。両者の名前が呼ばれると、会場から期待を込めた拍手が注がれた。開始15秒で阿部が技を仕掛け、持ち味の積極的な柔道で攻めた。対する丸山には、天理大の後輩たちから「ジョーシロー!」の大声援。袖をつかみ合い、高次元の駆け引きが続いた。
残り1分を切ると、丸山が伝家の宝刀・巴投げを試みるが、警戒していた阿部が回避。しかし、阿部に指導が入った。4分では決着がつかず、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入。延長20秒には丸山に指導がつく。阿部が力を生かした強引な投げを試みると、会場からどよめきが沸き起こった。技の応酬に大声援が注がれ、審判の「待て」が両者の耳に届かないほどだった。
迎えた延長3分27秒。一瞬の隙をついた阿部が、最後は支釣込足による技ありを決めて勝ち切った。大声援に向かってガッツポーズ。阿部が土壇場で7分27秒に及んだライバル対決を制した。
初戦の2回戦は背負投げ、3回戦は腰車で一本勝ち。準々決勝はロシア選手に残り1分30秒で体落としによる技ありで優勢勝ちし、準決勝は背負い投げの一本勝ちで相田勇司(国学院大)を下した。
五輪は男女7階級で出場権は各階級1人。日本代表の選考は3段階あり、一つは8月の世界選手権優勝者が今大会を制し、試合後に行われる全柔連強化委員会で出席者の3分の2以上が賛成すれば内定する。男子66キロ級では、今夏の世界選手権を制した丸山が優勝すれば、代表内定の可能性が高まる状況だった。
昨年のGS大阪は決勝で丸山と対戦し、国内では約2年ぶりの敗戦。今年4月の全日本選抜体重別選手権でも丸山に連敗。2連覇中だった世界選手権は代表2枠目に滑り込んだが、6月の代表合宿で左足首を負傷して7月中旬まで練習できず。丸山との準決勝は、ゴールデンスコア方式の延長3分46秒に技あり(隅返し)を奪われ、東京五輪出場の最大の壁となる“天敵”に3連敗を喫して悔し涙を流した。
若くして東京五輪金メダル候補と期待されていた22歳は、昨年世界選手権以来の優勝となった。五輪代表は来年2月までの主要国際大会終了時点の実績で判断されるか、4月の全日本選抜体重別選手権が最終選考会となる。
阿部は「凄い嬉しい気持ちですが、今からがスタート。もう1度も負けずに勝ち続けたい。絶対にやるしかない。倒すことしか考えてなかった。自分が勝つ想像しかしていなかった。絶対に気持ちでは負けないと。これだけやられっぱなしで僕も、本当に悔しい思いをたくさんしましたし、1回勝っただけなんですけど、これから何回もやると思いますが、これからも勝ち続けたい」と興奮気味に振り返った。
2019-11-22 09:43:57Z
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