松岡由希子(フリーランスライター)
ショッパブル・レシピ(Shoppable Recipe)
ショッパブル・レシピとは、レシピの検索・閲覧から材料のリスト化、ネットスーパーでの注文までをシームレスに実行できるソリューションである。
英国のモバイルアプリ「ウィスク(Whisk)」はその先駆的存在だ。ディープラーニング(深層学習)をベースとする独自の自然言語処理アルゴリズム「フード・ゲノム」により、料理の材料や味、栄養価などをレシピの文言から自動で分析するのが特徴だ。世界最大級のフードコミュニティサイト「オールレシピ」や米国の料理番組専門チャンネル「フード・ネットワーク」など、「ウィスク」と提携するレシピサイトに掲載されている200万件以上のレシピから選択すると、そのレシピに必要な材料が買物リストとして自動生成される。この買物リストをもとに、提携するネットスーパーで食料品を注文できる仕組みだ。英国のテスコ(Tesco)や、ドイツのエデカ(EDEKA)傘下でネットスーパー専業のブリングマイスター(Bringmeister)のほか、2020年10月には、米国のクローガー(Kroger)も「ウィスク」との提携を発表。「ウィスク」上のレシピを選ぶと、材料とクローガーで購入可能な商品をマッチングさせて買物リストを生成し、クローガーのネットスーパーでシームレスに注文できる仕組みとなっている。
ウォルマート(Walmart)も、1万件以上のショッパブル・レシピに対応するモバイルアプリ「サイドシェフ(SideChef)」と提携している。レシピの材料とウォルマートで購入可能な商品が連動しており、商品の価格や在庫の有無、代替品をリアルタイムで確認したうえで、ネットスーパーで注文できる。
コロナ禍での世界的な内食需要の高まりに伴い、日々の献立に役立つ利便性の高いソリューションとして、ショッパブル・レシピの活用はさらに広がりそうだ。
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