商品・サービスの消費税込み価格を値札やチラシに表示する「総額表示」が4月1日に義務化される。2019年10月に消費税が10%に引き上げられてから1年半。税抜き表示を認めてきた特例が今月末に期限を迎える。コロナ禍で小売りや外食業界の競争が激化する中、「値上げ感」につながりかねない総額表示の義務化は、地場スーパーや外食企業の価格設定にも影響を与えている。
13年10月から21年3月までは、店舗などの負担軽減のため消費税転嫁対策特別措置法の猶予期間で、税抜き表示であることが分かれば税込み価格を明示しなくても良いとされていた。4月からは税込み価格を数字で表示しなければならず、消費者向けなら実店舗に限らず通販も対象になる。
西鉄ストア(福岡県筑紫野市)が運営する食品スーパー「レガネット天神」(福岡市)では3月中旬に店頭の価格表示を改めた。従来は値札に「本体価格+税」と表示していたが、総額表示に対応するため税抜きの本体価格を大きく示し、その下にやや小さくかっこ書きで税込み価格を記す方式を採用した。
支払額が一目で伝わる半面、消費者からは値上げと受け止められやすいことが小売業界の懸念だったが、小田謙作副店長は「お客様から後ろ向きな反応はなくほっとしている」と話す。ただ、加工品などに外部業者が作成した値札が貼られて並ぶ商品もあるため、今月下旬まで適正かどうかのチェックが続いた。
福岡県や熊本県などでスーパー「サニー」を運営する西友(東京)は、総額を大きく表示して一度は値札を張り替えた。しかし、低価格路線のイメージを保とうと、本体価格を大きめに表示する方式に急きょ変更したという。店頭では再度の張り替え作業を行った。
外食業界でも動きがある。豚骨ラーメン店「一風堂」を運営する力の源カンパニー(福岡市)は4月1日にラーメン3種類を35~5円値下げする。「白丸」は税込み825円から790円に、「赤丸」は902円から890円にする。替え玉は100円から150円にするなど、ラーメン以外のサイドメニューを値上げして売上高を確保する狙いだ。
ロイヤルホールディングス(同)は「ロイヤルホスト」のメニュー表では本体価格と税込み価格を同程度の文字サイズで併記した一方、「天丼てんや」では、税込み表示だけにした。同社は「看板メニューである天丼がワンコイン(500円)という価格戦略があるため」(広報)としており、各社で対応は異なっている。
(布谷真基)
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