ANAホールディングス(HD)傘下でマイル事業を統括する「ANAX」(エーエヌエーエックス)など2社は26日、航空機の利用だけでなくインターネット上のさまざまなサービスをマイルで利用できる「ANAスーパーアプリ」の提供を2022年度に開始する考えを明らかにした。本業の航空事業の収益が新型コロナウイルス禍で激減する中、マイルの価値拡大で、航空事業一本足からの脱却を目指す。
「マイルには航空券に換えられるという強みがあるが、非日常で使うものだった。これからはスーパーアプリを起点に街中でマイルで生活できる世界を作り上げる」。ANAXの井上慎一次期社長は同日の記者会見で、マイルを中心としたプラットフォーム事業の推進を表明した。
スーパーアプリではたまったマイルの用途が拡大。従来の航空券や旅行商品だけでなく、ゲームや音楽などのデジタルコンテンツ、携帯電話などの通信サービス、飲食など幅広い範囲のサービスが利用できるようになるという。
ただ、プラットフォーム事業は日本では楽天やヤフー、KDDI(au)などIT各社や通信大手がすでに推進しており、ANAは最後発といっても過言ではない。そのため井上氏がANAのプラットフォーム事業の特長として強調するのが、交通や物流、地方自治体との連携など「リアルの充実度」だ
ANAHDは4月1日に航空券販売を担ってきた事業会社の社名を「ANAあきんど」に変更し、地方創生にも事業領域を広げる。スーパーアプリで利用できる地方発のサービスの開拓も行う方針で、地方のみかん農家の支援の過程でANAグループで製品化したみかんジュースをスーパーアプリで販売するといったプランを描く。
プラットフォーム事業についてはANAHDの片野坂真哉社長も「19年度の2千数百億円の売り上げを5年ぐらいで倍にしていけると思っている」と表明。3700万人のマイル会員基盤を活用して事業を成功させる考えだ。今後、各会員の性別や年齢層などに適したサービスの提案など会員基盤活用の方法を探るとみられる。
競合する日本航空も4月1日付で「マイレージ・ライフスタイル事業本部」を設置。金融や物販などのサービスを今後、提供していく考えだ。
両社に共通するのは厳しい経営環境の中で、資産といえる会員情報の活用を重視する点だ。ただ、無料通信アプリのLINEの個人情報管理を巡る問題で表面化したように個人情報の活用はもろ刃の剣でもあり、航空大手の両社には個人情報保護に対する消費者の懸念に配慮する必要もありそうだ。(大坪玲央)
関連リンク
からの記事と詳細 ( ANA「スーパーアプリ」、マイルで航空から買い物まで 航空一本足脱却へ - ITmedia )
https://ift.tt/3tUaZxo
No comments:
Post a Comment