
ドラッグストアの生鮮食品大戦争が勃発している。ドラッグストアではこれまで、食品は安売りして集客の手段として扱われてきた。だが、売り場に生鮮食品が並ぶチェーンが増加しているのだ。ドラッグストアの垣根を超えた「領海侵犯」に、生鮮食品を主力とする食品スーパー、さらにコンビニも主力部門である食品が脅かされかねない状況になってきている。(流通ジャーナリスト 森山真二) ● ツルハやウエルシアが 生鮮食品を増やす 「来期(22年5月期)はさらに約200店で生鮮食品(青果、精肉)の取り扱いを始めたい」――。 ドラッグストア大手のツルハホールディングス(HD)の鶴羽順社長はこう話す。 ツルハHDでは今期(21年5月期)までに全約2000店のうち既存店約700店に生鮮食品の売り場を導入する見通しだが、来期はさらに増やすというのだ。 最大手のウエルシアHDもこれまで生鮮食品に慎重なスタンスだったが、生鮮食品の取り扱いをジワジワと増やしている。大手ドラッグストアチェーンの売り場はさながら、「ここはスーパーか?」と見まごうばかりだ。 なぜ、こうも生鮮食品を取り扱うドラッグストアが増えているのだろうか。
「生鮮食品は購買頻度が高いから」と話すのはある大手スーパーの幹部だ。スーパーもドラッグストアの『領海侵犯』に戦々恐々としているが「集客が見込めるから仕方がないですよ」(同)と言う。 ドラッグストアといえば調剤による医療用医薬品、一般医薬品、さらに化粧品が収益の柱である。相変わらずこうした商品を中心に高収益のチェーンが多く、コロナ禍の今も売り上げを伸ばしている。 しかし、今ドラッグストアは「二つの大問題」に直面している。 ● ドラッグストアが直面する 「二つの大問題」 一つは医療用医薬品の処方の長期化、さらに新型コロナウイルスの感染拡大で化粧品の売り上げが減少していることだ。 調剤の医療用医薬品と化粧品はドラッグストアにとって「ドル箱商材」である。ところが、この収益の柱である「2大カテゴリー」が影響を受けている。 例えば、最大手のウエルシアHDの20年2月期の調剤の売上高構成比をみると17.9%、さらに化粧品は17.3%という比率である。しかも、この2大カテゴリーの利益率は高く、多くのチェーンが医療用医薬品で30~40%、化粧品で三十数%以上の高粗利益率を稼いでいる。 「このところ、ドラッグストアの調剤部門はもうけ過ぎだ」(ある業界団体)との批判を受けるほどだった。 しかし、この2大カテゴリーも、先述したような処方日数の長期化による調剤機会の減少、さらにマスク着用による化粧品販売の減少で、先行きが怪しくなっているのだ。 「処方日数の長期化、化粧品販売の減少は、新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化してからも当分の間収まらないのではないか」(ある業界関係者)とみられ、ドラッグストアは収益構造の転換を迫られているといっていい。
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