およそ6万円が82万円に!? 恐るべき転売の世界
人間は限定品に弱い。数に限りがあるから、手に入れられなかった人のなかには多少のプレミアムを支払ってでも欲しいという人が現れる。そして今では、インターネットサービスの進化により、基本的に世界中で誰でも容易に再販活動をおこなえる時代になった。つまりは中古品の流通であり、転売活動の活発化にもつながっている。 【画像】1冊およそ84万円となった「ミウラ ブック」を見る(14枚)
2020年、ランボルギーニ「ミウラ」の生産台数と同じ冊数限定で発売されたのが、『The Lamborghini Miura Book』という本。冊数限定を謳い、前割制度(450ポンドが400ポンド)を導入し、消費者の心をくすぐって見事に762冊を完売した。あれから1年が経過し、どうなっているのかと思い検索してみると、Hortons Booksというウェブサイトで、なんと5500ポンド(邦貨換算約82万円)という希望販売価格が掲げられていた。オークションではないので入札されたわけではなく、あくまでも売り手の“野心的”な値付けではあるのだが、それにしても高額である。 高級スーパーカー本といえば、ドイツの出版社Taschenがリリースしたフェラーリ本も、発売当時に話題となった。 2018年、250冊限定のフェラーリエンジンカバーを模した専用ケース(著名プロダクトデザイナーのマーク・ニューソンがデザイン)と専用スタンドで、3万ドル(330万円、1ドル110円で換算)という価格。もっともケースとスタンドが付かない“廉価版”の1697冊は6000ドル(66万円、1ドル110円で換算)で販売されていた。なにはともあれ、合計販売冊数の1947冊は、フェラーリ創業年にあわせたものだった。 あれから3年、eBayで販売された専用ケースとスタンド付きの“高級版”は、希望販売価格5万6000ドル(616万円、1ドル110円で換算)が掲げられている。絶対的金額は高く感じるが、こちらは新品と比較して2倍弱という希望転売価格だ。 個人的には腕時計「アイクポッド」や、フォードのコンセプトカーなどを手掛けた経歴を持つ有名工業デザイナー、マーク・ニューソン作というだけで価値があると思うのだが、思いのほか控えめな値付けだ。 ●ダイヤ入りフェラーリの高級本とは 思い起こせば2011年、本家本元のフェラーリが高級本出版を得意とする「Opus」とコラボしたフェラーリ本は凄まじかった。 「クラシック」呼ばれる“廉価版”が4100冊限定で4100ドル(32万8000円、1ドル80円で換算)。「キャバリーノ・ランパンテ・エディション」が500冊限定で7500ドル(60万円、1ドル80円で換算)、さらにフェラーリのチャンピオンドライバーによるサイン、シリアルナンバー入りの「エンツォ・エディション」が400冊限定で3万7500ドル(300万円、1ドル80円で換算)、そして「エンツォ・ディアマンテ・エディション」が27万5000ドル(2200万円、1ドル80円で換算)で、表紙のフェラーリロゴはダイヤモンドで飾られていた。こちらは各国1冊の割り当てで販売されていた。 このダイヤモンド付きの豪華本、今のところ中古市場には出回っていないようだ。転売需要がないのか、手放すのが惜しいのか、いずれにせよ、中古市場に出てきた時の価格が気になるところだ。
古賀貴司(自動車王国)
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