エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)との経営統合の可否を決める 関西スーパーマーケットの臨時株主総会が29日に開催される。実質的に同案と首都圏地盤のスーパー、オーケー(横浜市)からの買収提案をてんびんにかける決議では僅差の勝敗が予想される。
議決権行使分析などを手掛ける クエストハブの調べによると、関西スーパーの株主構成は約6割が事業会社だ。このうち筆頭株主で傘下に阪神阪急百貨店を運営するH2Oと第3位のオーケーの持ち分を除いた約4割が取引先などの事業会社で、事実上、彼らの賛否が成否を分ける。
統合案は特別決議として諮られることから、出席株主の3分の2以上の賛成を必要とする。クエストハブの大熊将八社長は、「議決権の約4割を保有する取引先事業会社の動向が結果を左右する」としたうえで、僅差の勝負になるとの見通しを示した。同社によれば、関西スーパーの確定与党は16.61%だ。
比較困難
株主を悩ませるのが、どちらのメリットが大きいのか簡単に比較できない点だ。H2Oとの統合案は、関西スーパーがH2O傘下のスーパー2社を子会社化する一方で、H2Oが58%を保有する親会社になる。関西スーパーは外部機関による自社の 理論株価を1787-3128円と公表したが、非上場のスーパー2社の価値算定を巡って市場は混乱した。
対するオーケーは、経営陣の賛同を前提に上場来高値である2250円で全株取得する案を 公表した。H2O案が上場維持を前提としているのに対し、オーケーは意思決定の迅速化などを理由に非公開化を提案した。
議決権行使助言会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラスルイスは、H2Oとの統合議案に反対を推奨するリポートを公表した。ISSは「関西スーパーの主張が裁量的な評価方法に基づいている」などとして、オーケーの提案にメリットがあると結論づけた。
一方、市場にはH2Oとの統合案に一定の理解を示す声もある。松井証券のシニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「H2Oとしては、あえて買収価値をクリアにしない方が、価格引き上げ合戦を避ける意味でも合理的」と語った。
政策保有に一石
市場関係者が驚いたのは、納入業者である 伊藤忠食品が議決権行使に必要な情報が足りないとして 公開質問状を提出したことだ。納入業者による株式保有は商売上のメリットを享受するための「忠誠の証し」であり、本来なら会社側提案には無条件に賛同する与党株主だ。
また、関西スーパーの取引先持株会も臨時総会での議決権行使を各会員の自主投票と決めた。同持株会は食品卸など約140社で構成する第2位株主で、クエストハブによると議決権比率は9.2%。
一連の動きは、政策保有株の議決権行使のあり方に一石を投じる可能性がある。窪田氏は「政策保有している会社に対しても合理的説明を求めることになった。経済合理性に基づいた行動で、日本の政策保有株の特殊性が薄らいでいる」と評価した。
臨時総会で経営統合が否決されれば、2007年2月、東京鋼鉄の臨時株主総会で、大阪製鉄による完全子会社化案が否決されて以来のことだ。同社は16年に大阪製鉄が実施した株式公開買い付けにより完全子会社となった。
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