岩手県一関市の縫製工場で働くベトナム人技能実習生が、迷子になった男児に声をかけ、家族との再会に手を尽くした。警察は先月、実習生に感謝状を贈った。
男児を救ったのは、ベトナム出身のグエン・ティ・フェンさん(37)。2019年春から一関市の縫製工場で働いている。
フェンさんによると、8月14日昼過ぎ、近くのスーパーからの帰り道、3歳から5歳くらいの男児が後ろからとぼとぼついてきた。雨が降っているのに、傘もさしていない。
「おうち、どこ?」。尋ねても返事はなく、フェンさんの足にしがみつき、泣き出した。フェンさんはベトナムに2人の子どもがいる母親だ。親とはぐれて不安な子どもの気持ちがよくわかった。
警察に連絡しようと思ったが、日本語が得意ではないため、技能実習生の受け入れ団体で通訳を務めるドアン・バン・ミンさん(30)に電話で相談。ミンさんに教えてもらった「ここにまよっているこどもがいます」という日本語を、公衆電話から警察に伝えた。
警察にはほぼ同時に、家族から子どもが迷子になったとの相談が寄せられており、間もなく男児と再会することができた。
千厩署は9月、「一歩間違えれば、事故や事件に巻き込まれていたかもしれない」とフェンさんに感謝状を贈呈。フェンさんは「うれしいけれど、特別なことをしたとは思っていない。ベトナム人であれば、みんな同じことをしたと思います」と話した。(三浦英之)
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