Pages

Saturday, July 27, 2019

大船渡エース、佐々木投手の登板回避に横浜元監督、渡辺氏「挑戦させてほしかった」 - 産経ニュース

大船渡エース、佐々木投手の登板回避に横浜元監督、渡辺氏「挑戦させてほしかった」 - 産経ニュース

高校野球岩手大会閉会式 準優勝の盾を手に悔しい表情を見せる大船渡・佐々木朗希(中央)=25日、岩手県営野球場(矢島康弘撮影)
高校野球岩手大会閉会式 準優勝の盾を手に悔しい表情を見せる大船渡・佐々木朗希(中央)=25日、岩手県営野球場(矢島康弘撮影)

 25日に行われた第101回全国高校野球選手権大会岩手大会の決勝で、大船渡がエース佐々木朗希投手(3年)を出場させずに敗れた。甲子園を懸けた大一番で、故障防止を理由に登板を回避したことは、高校野球の関係者に衝撃を与えた。横浜高校前監督で、松坂大輔投手ら多くの選手の育ててきた渡辺元智氏がこのほど産経新聞の取材に応じ、大船渡の国保陽平監督が下した決断について、意見を述べた。

 --率直に今回の登板回避をどう思うか

 「対戦相手との力関係も含め、色々な要素があったはずなので、あくまでも、私見として申し上げる。国保監督を批判するのではない、という点は十分にご理解いただきたい。その上で、佐々木君が高校野球にどういった目標を持っていたのか、という点を考えると、寂しい思いになった、というところが本音だ。報道などを含め、いろいろと見ていると、佐々木君は東日本大震災を乗り越え、地元に愛着を持ち、地元の高校に行って、地元の仲間たちと甲子園に行くという目標があった。本人、チームメートがどう感じたのか。複雑な思いになる。オリンピックが間近に迫り、アスリートが限界に挑む姿がニュースでもよく取り上げられている。若い球児たちも同じように、限界にトライしている。過酷な環境で競争をしており、元々、体に故障があるような状態であれば、これは十分にケアをする必要がある」

 --指導者であれば、教え子の将来を考えなくてはならないという使命もある

「私も肩を壊して野球をあきらめた。だから、選手の体を守ることの重要性は常に心に置いてきた。少しでも異変があれば、ブレーキをかける、止めるのも監督の役目。ただ、今回のケースについて考えた場合、体に故障がなく、本人に意思もあったならなぜ、投げさせなかったのかと、疑問が浮かぶ」

 --佐々木投手は将来の野球界を引っ張る逸材だ

「素晴らしい選手。過去に現れた逸材、名選手に続く存在だと思っていた。もし彼が甲子園に出場すれば、小さな子供たちの夢になる。野球人口を増やすことになるかもしれない。とてつもないインパクトを社会に与える可能性さえあると思った。甲子園に出れば地元の仲間たちと国際大会に出る可能性も広がったかもしれない」

 --岩手県予選でのピッチングをどう見たか

「実際に、県予選が始まるまでにも、佐々木君の持ち味であるスピードに磨きをかけるというより、甲子園に行くため、打たせて取るピッチングを磨いているように見えた。ベンチサイドにも色々な葛藤があっただろう。甲子園に行くという大きな目標もある。そうした意味で、194球を投げた4回戦の後、準々決勝で登板を回避させたのは英断だった。194球は、さすがに投げすぎと思う。勇気を持って、1回休ませたということだろう。だが、そこからさらに1日空いて、準決勝では129球。中2日空けて連投というのは決して無理ではない。連投するものだと思っていたので決勝に出なかったのは驚いた。故障がなければ、投げさせないという理由は考えにくいだろう。本人を含め、どのような考え方で決勝まで臨んでいったのか。しっかり話し合い、納得ができていたのか。そこが重要だ」

 --予選では試合を決める本塁打も放った打力もある

「野手として出場する考え方だってあった。絶対的なエースが投げないにしても、『佐々木ががんばっている。打って、守っている』という意識だけで、チームメートは鼓舞されたはずだ。そうした中でも、グラウンドに立たなかった。故障などのアクシデントがあったのかもしれない。もし、故障もない状態でそうした判断に至ったとすれば、選手たちの悔しさ、無念さはいかばかりだったろうか」

 --今回の登板回避は高校野球に一石を投じるのではないか

「球児の体のケアの問題が議論される中で、さまざまな意見がある。ただ、忘れてならないのは、厳しい状況で極限まで自分を追い込んでいるアスリート、選手というのは、必ず、体のどこかに多少の痛みがある。それぞれに目標があり、酷使、という考え方以上に配慮しなければならない部分もあるのではないか。夏の甲子園というのは、子供たちにとって集大成だ。それぞれの目標は大事だ。そして、それを突き詰めることが『勝利至上主義』ではない、というのも分かる。高校野球には人を育てる面もある。飛び抜けた子供たちばかりではなく、中には決して上手ではない子供たちだっている。そういう子たちが周囲への感謝、仲間たちのためにというチームワーク、そして自分のために、という強い思いを持って臨んでいる。これは、高校野球のとても大切な部分だ」

 --高校野球の予選の日程や仕組みを変えるきっかけになるかもしれない

「『佐々木君だから休ませるべき』、『いや、そうではない』という議論も違う。もし、その筋で議論するのなら、すべての選手たちに精密検診を受けさせ、少しでも問題があれば、ドクターストップをかけるべきだ。甲子園は誰もが行ける場所ではない。県大会も含め、数々の名選手がしのぎを削り、限界に挑戦して歴史を築いてきた。もし佐々木君本人が『痛い』と言わず、故障がなくて、投げたがっていたのであれば、挑戦させてあげてほしかった。彼やチームメートが納得すれば、それで良かったのだろうが、何も残らなかったような、寂しい気持ちになったというのが胸中だ」

Let's block ads! (Why?)



2019-07-27 07:46:00Z
https://www.sankei.com/life/news/190727/lif1907270031-n1.html

続きを読む >>>>


No comments:

Post a Comment