コロナ禍により世界中のいろいろなイベントが大きな影響を受けてきた。それはモータースポーツも例外ではなく、日本で最も人気があり集客力を誇るスーパーGTも開幕戦の延期を余儀なくされていた。
そのモータースポーツも世界的に復活してきていて、2020年7月3~5日にF1が開催されたのに続き、日本のスーパーGTは2020年7月18~19日にめでたく開幕することができた。
今季のスーパーGTは、DTM(ドイツツーリングカー選手権)と共通のクラス1規定の導入、トヨタ勢は新型マシンであるスープラを投入、NSXはミドシップからFRに変更されるなど話題豊富。
紆余曲折を経て開幕したスーパーGTはコロナ禍でどう揺れ動いたのか、ニューマシンのスープラ、新生NSXのポテンシャルなどについてモータースポーツジャーナリストの高橋二朗氏が考察する。
文:高橋二朗/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA
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スーパーGTは約3カ月遅れで開幕
2020年のスーパーGTは当初4月11~12日に岡山国際サーキットで開幕する予定となっていた。世界中で感染が拡大する中、例年通り開幕戦の地、岡山で3月14~15日に無観客でテストを行いつつ、開幕戦の開催についていろいろ模索されてきた。
しかしテストから3日後、緊急事態宣言が発令(4月7日)される前の3月18日にスーパーGTをプロモートするGTアソシエイション(以下GTA)と岡山国際サーキットが協議した結果、開幕戦を延期すると発表。
感染拡大防止のため、イベントが開催できなくなったが、スーパーGTの場合、たとえ無観客で開催したとしても、かなりの人数がピット、パドックエリアに集まることになる。
具体的に見ると、現在参戦している48チームのドライバーだけで100人、仮に1チームのスタッフを20人とすると1000人、それに自動車メーカー、タイヤメーカーなどを入れると1500~1700人程度となる。
この数字はかなり少なく見積もったものだが、3密防止が叫ばれるなか、この大規模人数が一同に集まることを考えなければいけない。
開幕4戦は無観客での開催
また、開催サーキットについては、移動をどうするかという問題もある。
7月18~19日の開幕戦に富士スピードウェイが選ばれたのは、チーム関係者が移動することでかかる迷惑のレベルが最も低いのが富士だったという点もある。
開幕戦は遅れての開催となったが、当初の予定通り8戦の開催を予定し、富士のほかに鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎで開催されることになった。
これは公共交通機関を使わなくても比較的移動しやすいという理由のほか、無観客でも主催者のサーキットが耐えられるという意味が大きい。
現在、GTAは開幕から4戦は無観客で開催することを決めていて、プロ野球、Jリーグが観客を入れるようになっているように、感染状況などを考慮して、観客を動員するかどうか決めるという。
当然、サーキットにとって入場料収入は大きなもので、それがないまま開催を続けることは、サーキットサイドにとっては大きな痛手になる。
自動車メーカーがバックについている富士スピードウェイ(トヨタ)、鈴鹿サーキット&ツインリンクもてぎ(ホンダ)以外は開催が難しい、というのが実情だと思われる。
レース開催にあたっての具体策
開幕戦を開催するにあたり、サーキット入りできるチームのメンバーが制限された。具体的には1チーム16人に制限。これはチームとしては足りないくらいの人数ゆえ、PR担当などはサーキット入りしていない。
いっぽう取材する側のプレスも70人に制限された。これは富士スピードウェイのプレスルームを使用するにあたり、ソーシャルディスタンスを考えたうえで決定された。
これまでなら、プレスは事前申請以外にも年間パス所持であればネットで取材日を通知しておけば当日にパスを提示するだけで入場が可能だったが、新型コロナ禍では、全てのメディアは事前申請が必須で、発表媒体とセットでないと受理されなくなった。
岡山での無観客テストの時からチーム関係者、プレスに検温、問診票の提出などが義務付けられていたが、開幕戦に対しては、前後2週間に検温し、体調を日々報告すること、また、イベント前には一回、33項目にわたる細かな問診票の提出など、さらに徹底されていた。
サーキットに入る前にゲートで検温は当然行われている。
参戦チームについてはPCR検査が必須とはなっていないが、トムスのようにチームで抗体検査を行って、全員の陰性を発表したところもある。
スーパーGTは、スタッフもプレスも宿泊するケースが多い。その時に問題になるのが食事で、GTAではテイクアウトして部屋で食べることを推奨。
また、店で食べる場合は事前に予約して、静岡県以外から来たメンバーがいる場合はその旨を知らせることが義務付けられた。
レースは地方自治体との連携なしでは開催できないが、富士スピードウェイは開幕戦で感染拡大防止策を徹底することで、小山町、御殿場市からの協力が得られた。
無観客レースは異様な雰囲気
開幕戦の富士は、前述のとおり無観客で開催された。これまで長きにわたりレースを取材してきたが、観客がポツポツという寂しいレースはあったが、誰もいないというのは初めての経験だった。
通常レースと同じように場内放送は流されていたが、歓声はいっさいというのが異様な雰囲気でもあった。
ドライバーもいつものレースなら、最終コーナーを立ち上がってホームストレートを走行中にファンの大歓声を受け、スタンドではフラッグがいたるところで振られている、という当たり前の光景がないことに寂しさを感じていたようだ。
レース会場での新型コロナ対策も徹底されていた。予選、決勝の記者会見場は入場禁止となっていて、プレスはオンラインで流される動画をYouTubeで見るという形式がとられていた。
当然ドライバー、チームスタッフなどマスクは必須で、インタビューを受けるマイクも個別に用意され、アルコール消毒されるといった具合だ。
今回取材してみて、GTAは現状で今考えられる新型コロナ感染拡大防止策のすべてをやっていた印象を受けた。
スープラデビューと新生NSX
開幕戦の富士は、スープラの投入、NSXがミドシップからFRに変更された最初のレースということで注目を集めていた。
結果はニューマシンのスープラが1~5位を独占するという最高のデビューを飾った。
このスープラについてエンジニアは、「タイヤとのマッチングの幅が広いので、結果としてパフォーマンスの幅が広くなっている」、とコメントしていた。
いっぽう一部のドライバーは「ちょっと運転しづらいところもある」、と相反するものはあるが、戦闘力が高いのは間違いない。
スープラの富士での走りを見て、ハンドルを切ると素直に曲がる感じを受けた。フロントに余計な空力付加物を装着しなくてもダウンフォースが出ているのも特筆だ。ダウンフォースを得ようと空力付加物をいろいろ装着しているGT-Rとは対照的だ。
いっぽう新生NSXはどうか?
ミドシップからFRに変わったことについてドライバーに聞いてみると、「乗りやすいし、まったく違和感がない」とのこと。これは意外だった。
新生NSXはスピードではスープラに比肩するくらいのポテンシャルを持っている。しかし、スープラが硬めのタイヤを使っていたに対し、NSXは柔らかいタイヤ。
予選ではタイムが出るが、決勝では速いけどタイヤのパフォーマンスが低下するとタイムが落ちてしまう。
基本的なポテンシャルが高いため、タイヤマネージメントを含め、今後テストなどでの熟成に期待したい。また、路面のコンディション次第では、スープラ勢も安泰とはいかないだろう。
最後は、開幕戦では蚊帳の外になった感はあるGT-R。
テスト段階からプロペラシャフトの破損が相次ぐなどトラブルに泣かされているGT-R勢は、新しくなったライバルに対して苦戦は否めない状況だろう。
マシンの改良、熟成は急務で、スープラ、NSXに対抗してシリーズを盛り上げてほしい。
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August 04, 2020 at 11:00AM
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