笠原雅俊
透き通った海が広がる高知県大月町柏島に、イルカの親子が2年間滞在し、仲良く泳いでいる。今ではダイバーや観光客のアイドルになっており、住民たちは「エメラルドグリーンの海が気に入ったのでしょう」と見守る。
2019年11月、柏島港にひょっこり現れた。青い海をグングン泳ぎ、時々高くジャンプを繰り返した。その可愛らしい光景で瞬く間に、地元の保育園児や小学生の人気者になった。町観光協会の担当者は「県外からイルカはどこで見られるか、問い合わせがあります」と話す。
イルカの親子の写真を照合した西田美紀・人間環境大講師は、背びれの傷や特徴から「熊本県の天草で過去に撮影された個体と一致しました」と確認。天草の海から遠距離移動してきたことがわかった。
イルカに詳しい森阪匡通(ただみち)・三重大学大学院准教授(鯨類学)によると、母子イルカは「ミナミハンドウイルカ」。母は全長約2・4メートル、2歳半の子は約2メートル。伊豆諸島の御蔵島(東京)、小笠原諸島(東京)、天草の海に生息する。
穏やかな海と豊富な餌、ストレス少なく
「一つの湾や港にイルカが2年もの長い間、すみつくのは非常に珍しい」と森阪准教授。イルカが長期間すみ着いた例としては、御蔵島から利島(東京)へ移動して繁殖した例があるという。
柏島にすみ着いた理由として、荒天でも保護される穏やかな海▽餌が豊富でとりやすい▽ストレスがかかりにくい、などが考えられるという。
2頭の今後について、森阪准教授は「イルカ次第ですね。子イルカがあと1年ぐらいすると親離れの時期になる。近くにオスがいなければ、母イルカは子どもが産めないので、しばらくいるかもしれません」。
母子は今も、港で寄り添うように泳いでいる。海中に潜り、2、3分で海面に出る。休日には観光客が岸壁からスマホで撮影する光景が見られる。
町観光協会の平井千恵さんは「母イルカはダイバーにも人気。柏島にちなんで、お母さんを『カシワチャン』、子どもを『シマチャン』と呼んでいますよ」と話している。森阪准教授は「柏島にいる間は、イルカの親子をやさしく見守ってください」と話している。(笠原雅俊)
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