2020年も残すところわずか。連載「西田宗千佳のイマトミライ」の西田氏と「鈴木淳也のPay Attention」の鈴木J氏を迎え、携帯電話や決済、ハードウェアなど、2020年にホットだった話題を振り返りながら、2021年に起こることを前・後編に分けて考察します。
後編は、ヤフーとLINE経営統合でも話題になった「スーパーアプリ」や、入手困難でも盛り上がった? PS5・ゲーム、2020年注目のハードウェアなどについて伝えします(聞き手:Impress Watch 臼田勤哉 執筆:甲斐 祐樹)。
対談は12月18日に実施。25日時点の情報に基づき追記しています。
前編:5Gとahamoショック、決済は“経済圏”の戦いに
後編:スーパーアプリどうなる? M1 Macで加速するニューノーマルPC(仮)
ヤフーとLINE統合はユーザーとのタッチポイントの再構築
--経済圏やタッチポイントの話と絡むところでは、2019年にヤフーとLINEの経営統合が発表されました。統合は2021年3月になりましたが、国内のビッグプレーヤーが統合することで、大きな変化も予想されますが……。
ヤフーとLINEの経営統合が延期に。新型コロナで10月予定に遅れ
西田:スマートフォン以前はヤフーがポータルとして圧倒的に強かったけれど、スマートフォンになって日本でもGoogleが強くなりヤフーの比率が減りました。ヤフーとしてはユーザーとのタッチポイントを作り直さないといけないが、検索エンジンでは今さら勝てない。
ではどこでタッチポイントを作り直すかといえばそこはメッセージング、ということでLINEと組むのは必然ですね。組んだ結果としてポイントや決済も持っているので、うまくいけばタッチポイントを検索エンジンだった時代からリビルドできる。PayPayとLINEがくっついたところにヤフーが乗っかっているという考え方ですが、無理矢理な構造でもあるので、実際の統合まで時間がかかる。
鈴木:LINEとしてはカード事業とメッセージング、あとはLINEのユーザー層、この3つがポイントでしょう。人の流れを制御した上でどう経済圏を作り出すか。データビジネスが本当にできるのかも含めてどのようにビジネスモデルを組み立てていくか。
西田:データビジネスは世界的に逆風が吹いていて、FacebookやGoogleやAppleもどう見直すかを考えている。その流れが日本に来ているのをヤフーとLINEはわかっていて、だから具体的な施策を練り直しているんでしょう。昨年合併が発表された流れではデータビジネスでいけたが、今年になってその話をほとんどしていないのは見直しが入っているんじゃないかな。
--Yahoo!スコアもすぐに終わったのが印象的でした。あの辺りは中国のAlipayとかを参照していると思ったのですが。
鈴木:中国の「芝麻信用」のようなサービスですね。あれはボーナス特典に近くて、生活がそこまで大きくは変わらないよね、という。
Yahoo! スコア終了。「満足いただけるサービス提供に至らない」
ペイの次はスコア? なぜ「スコアリング」「レンディング」が増えているか('19年8月)
--ロイヤルティプログラムの変化球のようなものでしょうか。
西田:中国はそれまでこういうサービスがなかったので有効に働いていますが、日本やアメリカやヨーロッパなどそれぞれの国の事情でビジネスが回っているところに中国のビジネスを貼り付けてうまくいくのかな、と。今年1年で正気に戻った感じがありますね。
鈴木:中国は決済、CBDC(中央銀行デジタル通貨)、芝麻信用など民間に任せていたところがありましたが、アリババ子会社が上場しようとしたら習近平がストップしたように、企業が独自で巨大化すると締め付ける方向にあります。そういう点では中国ですらこういうサービスが育つかは怪しい。
スーパーアプリはどこへ行った?
--中国というといわゆるスーパーアプリ、1つのアプリがタッチポイントになっていろいろなサービスを提供するということが今年の初め頃は強く言われていました。ある意味LINEもスーパーアプリとも言われていますが、このあたりはいかがでしょうか。
「スーパーアプリ」とはなにか。ヤフーとLINE経営統合の狙い('19年11月)
食のデジタル化でLINEをスーパーアプリに。LINE×出前館
西田:スーパーアプリはそもそも「アプリなんてインストールしてもらえない」というところからスタートしていて、マイクロなアプリを高速で読み込んで高速に処理するというのが1つの目的ですが、そのためのミニアプリのフレームワークをAppleもGoogleも用意しているのに使われていない。
鈴木:スーパーアプリで使うミニアプリにもある程度個人情報を渡さないと認証や決済ができませんが、ミニアプリで使える情報なんて決済に関わるもの、くらいで、AppleがApple Clipを用意しても再度登録が必要だったりと、フローがあまり省略できないんですよね。
西田:なので今度は1つのアプリの中に機能を一気通貫で入れるという話になるのですが果たしてそれをユーザーが喜ぶのか。企業として、工数をかけただけのリターンが得られるのかというと結構微妙じゃないかな。ドコモもスーパーアプリ化を今年の頭まで言っていましたが、会社の体制が変わるとなったらあまり言わなくなった。
鈴木:PayPayはAPI公開もしていてスーパーアプリをやりたいんだろうなと思いますが、PayPay開発の人に聞くと、単にプッシュ配信による通知を有効化するだけだとスパム天国になる危険性もあるので、UI/UXとしてどう見せるのも重要だということです。
西田:通知そのものは完全に破綻しているフローで、通知を握っているから強いというのは二周遅れくらいの話です。スーパーアプリの強みと言われている通知のメリットはもうなくて、もっとうまいUXで決済や買い物、クーポンを呼び出すというものを実現しないと難しいでしょう。
--最近のスーパーアプリの発表などを見ていると「アプリを新規にインストールしなくていい」が売りになっていて、それだけでいいのか、という気はします。ただ、「ふるさと納税」なんかは大体1年に一度なので、それでいい、というのはわかりますが。
鈴木:そのためにアプリを入れないから、施策としては正しいですね。
M1 Macbookの圧倒的な完成度。変化がわかりやすかったAppleの1年
--2020年はパソコンやスマホからさまざまなハードウェアも登場しましたが、今年を代表する、印象に残ったハードはなんですか。
西田:年末に出たということもあるけれど、M1 Macですね。バッテリーの持ちが本当に良くて。MacBook Proの場合、なにをしても15時間くらい本当に持つ。動画やゲームのようなハイパフォーマンスのことをやるときでも電源を探さなくていい。ファンも回らないから会議中もうるさくならない。
【レビュー】圧倒的な完成度。MacBook Pro(M1)の凄み
性能が高いMacが出てくるのはわかっていたけれど、こんなに性能よく、しかも互換性が高いもの一発目から出てくるなんて、アップルは一体どうしたんだ、俺たちのアップルはこんな会社じゃなかっただろう(笑)。
--以前、普段の原稿執筆はiPadを使っていると言っていましたが、最近はどうですか。
iPad Proは12.9インチ版が最適になってしまった理由 by 西田宗千佳
西田:iPadで原稿書いていた理由は、文字をタイプしてから表示されるまでのレイテンシーがMacやWindowsよりも短くて、快適に素早く文字が蓄積できたからなんです。なのでiPadは文字入力のための「大きなポメラ」と冗談で言ってたんですが。M1はさらにレイテンシーが短くて、そのくらいOSの最適化が進んでいる。今ではM1で原稿を書いて、Webや資料、動画のチェックがiPad、という普通の使い⽅になりました。
ビデオ会議が増えたことも理由です。ビデオ会議の録画録音にiPadは厳しいし、バーチャル背景もPCのほうが楽。そういう意味では、MacもしくはPCの出番が増えましたね。
--Mac以外にも今年はたくさんのApple製品が出ました。iPhone 12は4モデルで、iPad Airに、HomePod mini、AirPods Maxなど……
西田:今年はAppleの変化がわかりやすい年でした。実際にはWindowsもよくできているんだけど、持続的に変わっているので去年とそこまで違ってみえない。MacはM1でいきなり変わったし、iPhoneもデザインが変わったりminiが出たりと大きく変わったように見えたということだと思います。
Chromebookは普及間違いなし。ミドルレンジスマホの充実
--鈴木さんはいかがですか。
鈴木:個人的にはコロナ禍でいろいろなデバイスを買いました。まだ届いていないですがPixel 5とか、あとMacは何故かM1じゃないのを買いましたが、キーボードが変わった世代なので効率が上がったのはありがたいです。
iPadのノーマルも、ディスプレイが欲しいという理由で買いました。外付けディスプレイも買ったのですが、iPadは分離して別でも使えるので、キーボードが開けない時だったりとうまく使い分けられます。アップルはその辺りを全部ラインアップしていて使いやすくて、2in1がすべてじゃない、用途特化はそれだけで便利なんだな、と。
西田:今年よくやったPCメーカーはレノボですね。IdeaPad Duet Chromebookをレビューで借りたらすごくよくできていて、自分でも買ってしまいました。3万円程度で買えて、キーボードもついているタブレットとして傑作です。
他にもまだちゃんと使えていませんが、表示解像度が2,560×1,600ドットで1kgを切る「Yoga Slim 750i Carbon」や、「ThinkPad X1 Fold」のような飛び道具など、レノボががんばっていた印象です。
--西田さんはChromebookをどのような用途で使っていますか?
西田:ほとんどテスト目的ですが、こないだ買ったIdeaPad Duet Chromebookは10インチクラスの小さなタブレットとして、寝ながら本を読んだりするときに割といい。
今までChromebookはピンと来ない部分もあったんですが、それは自分がハイパフォーマンスのPCやiPadを持っていたので、若干劣る存在のChromebookを持っていても使いどころがなかったからです。ただ、3万か4万円で普通に使えるChromebookが出てきて、個人向けではタブレット的に使えて、学校向けにはクラムシェルとして使える。日本で普及するのは間違いないですね。
シャープも参入。2020年、日本で飛躍したChromebook
--Chromebookは普通にPCとして使えるという認識で大丈夫そうですか。
西田:いろいろアプリが動かないというのはあるけれど、「機器がない人が買う」という意味なら、もうこれでいいんじゃないでしょうか。みんなほとんどWebしか使ってないし、Officeが動かないのも学生なら関係ないし。同じ値段のWindows PCよりはずっといい。
鈴木:OfficeもGmail経由で編集くらいはできますしね。
--鈴木さんが買ったPixel 5は実質ミドルレンジでハイエンドではありませんが、今年はハイエンドよりもミドレンジのスマホが充実した市況もありました。これは何が原因でしょうか。
野心的ではないが意欲的。「Pixel 5」のちょうどいい進化
西田:単純に5Gで高いスマホをみんなが買えるか、というとそうではないという話です。4Gが5Gになってもスピードが変わるだけでは、普通の人は嬉しくない。
鈴木:自分がPixel 5を買ったのも、Pixel 3のサポートが切れるからという理由です。
西田:Pixelは本質的に開発端末なのに、なぜハイエンドではなくミドルレンジにしたのかというと、去年はPixel 3が大量に余ったので、Pixel 5は余らせないように手に取りやすい価格にしたのでしょう。
鈴木:Googleはそのあたりのコントロールが下手で、ハードへの愛情がないから毎回作っては売れ残る、というのを(2010年の)Nexus Oneを出したときから繰り返している。
西田:端末メーカーが真剣に毎回方向性を考えて作っているのとはちょっと違うのかな、という感じがしますね。
ネットワークで劇的に変わるゲーム体験
--2020年後半はゲーム機、特にプレイステーション 5が話題をさらいました。「PS5が買えない」という話題も含めてですが。
西田:買えないのは単純に量が作れないという話で、(PS5にプロセッサを供給する)TSMCとSIEががんばれ、という話なんですが、一方で今回は世界中のニーズが高いというのも事実です。
PS5が今までのゲーム機と何が違うかというと、ネットワークでつながっているということと、前の機種とほぼ完璧な互換性を持つということ、この「両方」が揃っていることです。PS2やWiiUのように、過去のゲームがそのまま動くものはあったけれど、当時はネット前提ではなかった。PS3やXbox 360以降はネット前提だけれど、過去のゲームとの互換性には限界があった。しかし、PS5はPS4のソフトがほぼ動く上に、画質やパフォーマンスもよくなる。
「サイバーパンク2077」というゲームが、コンシューマ向けだと画質や動作が良くないということで返品問題が起きていますが、面白いことにPS5でPS4版をプレイすると不具合の一部が出づらくなります。特に初代PS4とXbox Oneで性能が足りていないということなので、PS5のようにパフォーマンスに余裕があったら大丈夫だったのにね、という。
PS5だけではなくXbox Series X/Sもそうですが、プラットフォームが変わることで過去のゲームがより快適になっている。それはいままでと全然違う状況で、過去のライブラリがきちんと機能することで、短期的に専用ソフトに頼らなくていい。発売が5年前のゲームでも自分がやったことがなければ最新版として楽しめるんです。
一方でその面白い現象を支えるはずのハード供給が全然足りていないので、それを享受できる人がいない。今年はいろんな国で同時に出たので、それも影響しているのかもしれません。
--ゲームは盛りだくさんのトピックがありますね。
西田:新しいものが来たかというとそうではないんですが、マイナーな話はたくさんあって、1つは子供向けタイトルとして、子供達がオンラインのネットワークでいろいろなものを作るゲームが劇的に増えた年でした。
日本の盛り上がりはまだ一部ですが「Roblox」というタイトルが大ヒットしていて、そのプラットフォームがコンサートやコンテンツを見るために使われたりという新しいビジネスの種になっています。まだ2020年は目端の利いた人が注目しているレベルで、2021年に花開くことだと思いますが。
今年はなんといってもハードが出たことが大きくて、ネットワークで過去のゲームも新鮮に遊べるし、ロードが早いのでゲームを休む時間がないくらい快適です。
「デモンズソウル」という死にまくるゲームがあるんですが、PS3はやられてから再開するのに数十秒くらい待っていたのに、PS5だとすぐに再開できるので、ゲームを止めるタイミングがない。これはある意味とてもキラーで、ゲームを止めたくなる時間がどんどん削除されている。「新世代はこの快適さで勝負している」というのが、PS5やXbox Series X/Sをが⼿に入れた人にしかわからないのが問題なのですが(笑)。
「フォートナイト問題」は一定の解決も手数料ビジネスは今後も課題
--ゲーム関連の話題では、西田さんに記事にもしてもらったフォートナイト問題があります。人気ゲームの「Fortnite(フォートナイト)」がAppleやGoogleのアプリストアでの課金を回避したとして、ストアから削除された問題で、まだApp Storeから削除されたままですが。
“30%税”への叛旗。フォートナイトとApple・Google対決のゆくえ
西田:本質的にはゲームに限らない大きな問題。30%が高いか安いかは非常に難しい問題です。サポートやマーケティングも自社でできる大手にとって30%も取られるのはどう考えても高いけれど、そんなことしている余裕がない少人数のゲームメーカーが30%渡してやってもらうのはリーズナブルでしょう。
しかし収入が少ないのに30%も取られるのかという問題もあって、それに対してAppleが出した施策が、年間100万ドル以上の売上がないところは比率を変えますというルールでした。ライターの石野さんが「この施策に(Fortnite開発元の)エピックが文句を言うと、手数料を安くしたいのではなく、自分たちの言うとおりにしたかったのだというのが見えてしまう、という点でとてもいい施策」とコメントしていて、それはその通りだなと思います。
Appleとしても利益のほとんどは大企業から生まれていて、100万ドル売り上げないところから手数料を割り引いても経営上のインパクトは小さい。そういうところも含めて落とし所としてはいいのですが、そもそも30%という比率がどうなのかという問題は解決していないので、今後も裁判が蒸し返されるたびにこの話題が出てくるでしょう。
鈴木:30%を変える気がないということは、明らかにそこがAppleの収入源であるので、そこをどう手放すかは難しいところですね。
西田:Appleはハードの会社だけどこの先ハードの販売台数が倍になるとは思えないので、ハード外収入も増やさないといけない。とはいえサービスが主になったというのも違っていて、まだまだハードの会社ではあるので、3割モデルをどのタイミングで外すのか。Appleファンをしっかりつかんで、7万円のヘッドフォンでも売れる状況で自信がついたなら、3割を減らすということはあるかもしれません。
鈴木:一方、Microsoftはストアを使ってもらえないから手数料をどんどん下げているのに、それでも使ってもらえない。
--Microsoftは何%なんですか。
西田:閾値がいくつかあるけれど一番下は15%で、30%払っている人は少ないはずです。
オンライン化した「CES」に見るイベント業界の厳しさ
--そろそろまとめに入りましょう。来年、2021年について。テック系ではCESからスタートしますが、2021年のCESはどうなるでしょうか。
CES 2021、完全オンライン化の影響。“イベント”は再びリアルに戻れるか?
西田:うまくいくとは思えないですね。今年いろんなイベントがオンラインになったけどうまくいっていなくて、会場に行けばなにかあるというランダム性はまだオンラインでは成立していないし、バイヤーとメーカー、プレスとメーカーという人を引き合わせる関係もリアルでないとうまくいかないでしょう。
--コロナ以降、各社のプライベートなイベントや発表会はどんどん洗練されていて、やることが明確で集客できる会社はどんどん良くなっている印象です。イベントは不特定多数にメッセージを出して集まってもらうことが目的なので、どうしてもターゲットがばらばらでわかりにくく、イベントビジネスの難しさを感じます。
西田:イベント運営会社もたまらない状態が続いていますが、おそらく来年も解決策がないままいくのではないでしょうか。
鈴木:リアルな展示会にもいくつか参加しましたが、出展していない企業もあるし、出展していてもやる気が無いところも多い。雰囲気が戻らないとリアルをやっても変わらないのかなと思います。
2021年PCが変わる? 本当のニューノーマルが始まる
--2021年に注目している、追いかけたいトピックはありますか。
西田:M1がこれだけよくできていたので、PCメーカーがPCにおけるパフォーマンスや快適さの問題についてちゃんと向き合う時期なのかなと思います。
その中で大きく変わる点としてはカメラとマイクでしょう。スマホのインカメラはニーズが合ったからいいものがついていたので、高性能なカメラやマイクでビデオ会議が快適になる、ということが当たり前になってくる可能性がある。PCの快適さはCPUがどう、GPUがどうということではない、というのがもうちょっとはっきりするのではと思います。
鈴木:昔VAIO C1という、インとアウトで切り替えられて性能がいいカメラを搭載したPCがありましたが、そういうアイディアのような、決まり切ったPCがもっと変わっていい。
西田:2020年に出たPCは2019年に開発しているので、2020年のニューノーマルのために開発したPCは、ほとんど2021年に出てきます。
もう1つ、これもカメラに関係してますが、HDRで動画が撮れるスマホがたくさん出たのにHDR動画があまり使われていない。iPhoneで撮影したHDR動画はとても綺麗なのに、iPhone以外で見たときにどうなるかわからないという、もったいない状況があります。生っぽい音や絵が撮れるデバイスはもう少し注目される気がしているのですが、そう考えるともっと、再生できるPCやデバイスという横の連携をもっと頑張って欲しい。
鈴木:自分のカバー分野である決済でいうと、何度か触れていますが本人確認のデジタル化とアプリ強化という話で、ようやくモバイルでの本人確認が実現しつつあります。NFCについて2010年から取材を始めた時に、元々タッチポイントとしてスマホに身分証や決済を入れていくという話が上がっていたのがなかなか立ち上がらかったのがここにきて結実してきた感があります。
また、飲食業で人を雇えなくなるから店舗が変わるという点で、いままで人に頼っていたものをどう変えていくのか。ロボットやセンサーに変えていくなどいろいろありますが、中途半端な位置付けだったO2Oがもっと重視されて、テクノロジーで解決するというのがようやくでてきた感があります。
西田:先日、国土交通省の人といろいろ話をしたときに、2020年度末までに3Dデータ化した都市データをオープンデータとして公開するという話を聞いて。国だけじゃなく自治体が一生懸命つくっているのですが、まだ表に出ていない。こういうデータをみんな使えるようになると、自動運転や建築のメンテナンスなどいろいろなことができるはずで、ちょっと面白いことになるのかなと言う気がします。
実世界の都市をサイバー空間に再現。国交省の3D都市モデル「PLATEAU」
ニューノーマルといわれるけれど、家から出なくなって仕事にオフィスがいらなくなる、という話ではなく、こういうオープンな考え方やマインドセットが定着することで、全然違ったところに突破口がパッとできるのではないかという期待があります。それが本格化するのが2021年なのかな、というのがざっくりとしたイメージです。
--2020年いろいろあって、ニューノーマルと言われましたが、本当に大きな変化がでてくるのが2021年という感じでしょうか。
鈴木:ようやくモチベーションが整ってドライブがかかるのかなと思います。
西田:人が動くのは時間がかかるもので。2021年にコロナからゆっくり回復する中でいろいろなことが動いていくのかな、と思います。
対談をほとんどそのまま収録したポッドキャスト(β版)も配信中
からの記事と詳細 ( PS5体験とスーパーアプリ。M1 MacとニューノーマルPC。2020年を振り返る(2) - Impress Watch )
https://ift.tt/3nV4w2u
No comments:
Post a Comment