’21年3月に発売された新型グロムに続き、同系のエンジンを搭載するモンキー125とスーパーカブC125がモデルチェンジした。平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合するため、ボア×ストロークを変更した新型エンジンを搭載しているのが最大のポイントで、モンキー125はグロムと同様にミッションを4段から5段へと増やしている。小排気量車にとって新排ガス規制の影響はどれほどのものか、じっくりチェックした。まずは両車の仕様比較から。
【テスター:大屋雄一】セロー最終型に乗り換えたことで小排気量空冷シングルの楽しさに目覚めたモーターサイクルジャーナリスト。スーパーカブを買い増しするにあたり、今回の試乗は有意義だったという。
’21 モンキー125:念願の5速化!
半世紀以上の長い歴史を誇る元祖レジャーバイクのモンキー。50cc版が’17年8月に生産を終了し、その翌年7月に発売されたのが「モンキー125」だ。グロムをベースにツインショック化し、前後12インチ&ディスクブレーキを採用。
バナナイエローを廃止して全3色に。車体と同色だったフレーム/スイングアーム/ヘッドライトステーを黒で統一した。
’21 スーパーカブC125:より上質に!
初代スーパーカブのC100誕生60周年にあたる’18年9月に発売されたパーソナルコミューター、それが「スーパーカブC125」だ。車体は110をベースに構成部品を最適化。エンジンはウェイブ125iを基に質感を高めるため改良を施した。
初代C100の印象を踏襲したパールニルタバブルーを継続し、黒とグレーを廃止。新たにパールネビュラレッドを設定した。
スタイリング
ライディングポジション
エンジン:新規制対応後も諸元維持。ホンダの技術力に感心
’21年9月27日、新エンジンを搭載したレジャーバイクのモンキー125と、パーソナルコミューターのスーパーカブC125が発売された。今回のモデルチェンジのきっかけは、ユーロ5相当の令和2年(平成32年)排出ガス規制への対応であり、同系のエンジンを搭載するグロムは、ひと足早く’21年3月25日に新型がリリースされた。
搭載されるこの新エンジン、横型伝統の空冷SOHC2バルブはそのままに、ボア径を2.4mm小さくし、ストロークを5.2mm伸ばしている。つまり、よりロングストローク比となったのだ。
ここでひとつの疑問が生じる。というのも’21年1月、同じく排ガス規制対応を理由にホンダのPCXがフルモデルチェンジして発売されたのだが、こちらの水冷エンジンは反対にストローク量を短縮しているからだ。
燃焼効率向上を理由に2バルブから4バルブとし、そのためにボアを拡大したからという事情もあろうが、新型PCXのeSP+エンジンのストロークをショート化した理由として、ホンダは摺動抵抗の低減を挙げている。
同じホンダの125ccでも、かたや空冷2バルブの横型エンジンはストロークを伸ばし、かたや最新の水冷エンジンは4バルブ化しつつ短縮している。ボア×ストロークの変更はエンジン設計の根幹に関わる事案であり、旧型から流用できるパーツが激減するなどコスト面でも大打撃だ。裏を返せば、そこまでしなければ今回の新排ガス規制に対応できなかったということ。モンキーもC125も、スペック的には従来モデルとの差はほとんどなく、エンジンが新しくなったことすら気付きにくい。だが、そんな厳しい規制に対応しながらもスペックを維持できたことこそが、今回の注目ポイントなのだ。
主要装備
【モンキー125】標準装着タイヤはヴィーラバー(VeeRubber)製のV133。キャリパーは前後ともニッシン製で、’22年からABSモデルのみに。スチール製のクロームメッキフェンダーを前後に採用し、φ31mm倒立式フォークのアウターを車体と同色とする手法は継続。
【スーパーカブC125】ブレーキはフロントディスク/リヤドラムで、’22年モデルから1チャンネル式ABSが標準装備に。
【スーパーカブC125】スマートなリヤキャリアを標準装備。新たに純正アクセサリーとしてピリオンシートが登場している。
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